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2014-10-24

VOICE #1:中村ひろみさん

USER'S VOICE 中村ひろみさん

―中村さんは、東京のご出身だそうですが、群馬・前橋の印象はいかがだったでしょうか?

結婚して群馬にいかなければならないと決まった時、群馬について調べたら、気になった3つのポイントがありました。東京の出版社で働いていたこともあって、北関東の有力書店である煥乎堂が前橋にあること、群馬交響楽団の存在、それから赤城の南面から西北にかけて密集している農村歌舞伎地帯。その3つの要素を知って、群馬に行っても気の合う人がいるのでは!と思い、それを心の支えに群馬に嫁いできました。群馬に来たばかりの頃は、知り合いも少なく、どこまでも抜ける前橋の青空が悲しくて寂しくて、一生懸命、群馬の中で自分の好きになれるものを探していました。でもあっというまに、たくさんの宝物をみつけることができました。

―群馬にこられて、こちらでの演劇活動についてどんな感想を持たれましたか?

東京から来てすぐに、県内中のアマチュア演劇を見て歩いたのですが、そのレベルの高さに驚きました。東京の高いレベルの劇団にもけっしてひけを取らないレベルの劇団がいくつもあります。私は一つの劇団を作るというのではなく、テーマごとに、県内中の劇団からいろんな人を集めて公演をしていくようなプロジェクトを作っているのですが、それが可能なのも、そういった演劇人の層の厚さと、ものづくり県としてのDNAみたいなものがあるではないかと思っています。ものを作ることを厭わない、屋根がなければ屋根を作ってしまったり、そういったことが群馬の人は得意なのではないか。この大竹レンガ蔵でもそうですが、なにもないところに、自分たちで演劇空間を作り込んでいける。農村歌舞伎も然り、群馬の人たちの、自分たちでゼロから全てを生み出していく豊かさのようなものを感じます。

―私も、「まち映画」を撮影していて、プロとアマチュアの違いということをよく考えるのですが、中村さんはどうお考えですか?

演劇に限って言えば(テレビなどを除いて)、演劇だけで食べていけている方というのは本当に少ないのではないでしょうか。それとはまた別の意味で、作るものを作品として成立させられるかどうか、ということがプロの条件としてあるように思います。自分が作った舞台でも、それが終わった後、挨拶にいろんな方のところを回るのですが、その時に、舞台について熱く語ってくれる方がいらっしゃいます。その芝居の中に入り込んで、ある意味でその芝居がその人の人生を侵食している。それに触れるときは本当にたまらない。そういった力をもった作品を作り出せるかどうか。食べていけるかどうかとは別のレベルで、自分の中のテーマを具現化できるという方はやはりプロなのではないかと思います。

―市民演劇に関わることが多いと聞いていますが、そこでの苦労点などをお聞かせください。

行政から頼まれたりなどして、数年かけて舞台を作っていくことがあります。まったく経験のない人を、まず、すっと舞台に立たせるだけで、半年ぐらいかかります。でもその過程を大事にしたい。いままで経験がないのに演劇をやりたいと参加してきた人には、身体自体になにかをやりたいというメッセージ性を持っています。そういう人は、ただ舞台を端から端まであるくだけでも、なにか伝わってくるものがある。そういう発見が、市民演劇をやっていくときの喜びでもありますね。

―なぜ大竹レンガ蔵で演劇を企画されたのですか?

レンガ倉庫は、繭と生糸で栄えた前橋を象徴的する建物なのに、今前橋ではめっきり少なくなってしまいました。ここは酒蔵だったところで直接絹産業とは関係ないのですが、レンガの美しい空間で、ここでなにかできたらいいな、と思いました。多くの方は、ここは楽屋もないし音響も響きすぎるし、演劇をやるのは難しいんじゃないかとおっしゃいますが、そこは先ほどもお話ししたように群馬の演劇人はゼロから演劇空間を作っていくのが得意です。今回もその力でここを演劇空間として作り込んで行きます。

―大竹レンガ蔵で演劇をする上での利点はなにがありますか?

空間のすばらしさに惹かれてここで演劇をやることを決めたわけですが、ここでやる以上は、ここでしかできないものを、他ではできないようなものを作りたいと思いました。やはり県内で活動している小出和彦さんに脚本をお願いして、このレンガ蔵の空間自体をたのしんでもらうように客席と舞台のしきりをなくし、この周辺に残っている昭和の雰囲気、おそらく区画整理で無くなっていく風景ですが、それを生かすように、芝居のなかに、この周辺をみんなで歩くようなショートツアーをとりいれ、さまざまな工夫をしています。

USER'S VOICE 中村ひろみさん

―大竹レンガ蔵に演劇空間として使う上で望むことはどんなことでしょうか?

上州の演劇人はたしかになにもないところから作れる人たちではありますが、やはり最低限の音響照明設備はあるとありがたい。あとバックヤードがなにもないのはやはりきつい。5・6人の出演者の芝居でも、スタッフを含めると30人くらいの人が関わっているので、ちょっとしたバックヤードとしてのスペースがあれば理想的です。今回われわれはあえて舞台を作らないでやっていますが、劇団によっては、平台などで舞台をつくりたい人もいるので、そのあたりがあるともっといいのではないでしょうか。あと音が響きすぎるので、響きを和らげる幕があるといいなと思います。

―前橋で演劇を続けていくこと、若い世代と上の世代との関係などについてお聞かせください。

学生演劇というと、群馬大学にテアトルヒューメという演劇サークルがあって、60年の歴史を持っています。そこから出た人材が、群馬や前橋の演劇を支えているという背景があります。群馬全体で50くらいのアマチュア劇団があって、レベルのとても高い劇団もあったりするのですが、それぞれ個別に活動していて、横のつながりがあまりないのですね。それで、2012年から私の方で、ぐんま演劇人会議というのを立ち上げて、交流をはかるようにしています。その時に、群馬大の学生さんが、「卒業しても私たちは演劇ができるんですね」と言っていました。学生さんたちは、演劇は学生の時だけにやるものだと思っていて、実は、私たちは一生懸命(社会人になってもいろんな形で演劇をつづけていくことができるんだと)発信してきたつもりだったのに、意外にそれが届いていなかった。横の交流の重要さを実感しました。若いみなさんが、外の世界で何が起こっているのかを案外知らない。お芝居とは別に、ぐんま演劇人会議のような場を作っていくこともしていかなければと思っています。

―最後に、演劇の面白さとはなんでしょうか?

演劇は、ストーリーを楽しむということもあるかもしれませんが、生身の人間がそこに立って動いているのを見る、というのが一番の醍醐味でもあると思います。それは、生きていることの実感につながっていると思います。そういうつもりで、お芝居を気軽に見に来ていただければと思います。

―今日は、本当に興味深いお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

中村ひろみさんプロフィール
(c)Toshio Hirayama

VOICE #1:中村ひろみさん

1963年東京都出身、明治大学文学部演劇学科卒業。
’96~’99年群馬県高校演劇県大会審査員。
2001年小栗康平監督率いる「国民文化祭・ぐんま2001」開閉会式演出部所属(演出アシスト、制作、広報宣伝、ボランティアスタッフ運営等)。
'05年~県立県民健康科学大学「舞台芸術」非常勤講師、’13年~群馬県文化づくり支援事業評価委員他各種委員を担当。
演劇プロデュース「とろんぷ・るいゆ」主宰としてプロデュース・演出・役者・ワークショップ講師、朗読等で活動。前橋市在住。

VOICE #1:インタビュー完全版(約20分)

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USER’S VOICEは、前橋のまちなかのさまざまな場所で活躍されている方に、その場所の使い方や、前橋での文化を発信していくことなどについてお聞きするインタビューシリーズです。インタビュアーはステージコミッショナーの藤橋 誠、毎月一回不定期更新で配信予定です。

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